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笑顔

なみこぞう

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「残したい日本の音」にもえらばれた、波の音にまつわるお話です。一人の少年が、草むらで親指ほどの大きさの子どもを見つけました。なんとその子は海からやってきたと言います。かわいそうに思った少年は、その子を海にかえしてあげました。しかしその後、ふたたび少年のもとにその子どもがすがたをあらわします。

民話の舞台
静岡県遠州灘地域
かたりべ
加茂徳明さん
収録地
静岡県浜松市
収録日
2008年10月23日
協力
浜松学院大学短期大学部
再生時間
2分40秒

民話のふるさと

民話名
なみこぞう
収録日
2008年11月23・24日
撮影地
静岡県浜松市
再生時間
2分39秒

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かたりべ
加茂 徳明さん
再生時間
2分52秒

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印刷用データ(PDF)

方言版

静岡県 なみこぞう

 むかし、一人の少年が曳馬野(ひくまの)に母とともに住んでいた。
 ある日、田をたがやして小川で足をあらっていると、かたわらの草の中から「もしもし」とよぶ者がある。見ると親指ほどの子どもがいる。そして、「お助け下さい、わたしはこの前の海に住むなみこぞうというものでございます。先ほどの大雨にうかうかと陸にうかれ出たのですが日照りにあってはとても家まで帰ることはできません。どうぞ海までお連れ下さい」と言う。少年は気の毒に思って言うとおりにして助けてやった。

 その後なお日照りが続いた。田の水はかれる。いねはしおれる。少年はとほうにくれて、ある日ぼんやり海辺に立っていると、海間からちょこちょこ走って来たものがある。よく見るとこの間のなみこぞうである。
「先日はありがとうございました。日照りで大変おこまりのご様子、私の父は雨ごいの名人ですから、さっそく雨をふらしていただきましょう。なお今後は雨ふる時には東南で、上る時には西南であらかじめなみを鳴らしてお知らせいたしましょう」
と言ってすがたをかくしてしまった。
 言(げん)のごとく間もなく大雨がふって、少年はじめ里の人々は大いに助かった。
 それから、この地方では、なみの音によって天気予知が出来るようになったという。


「静岡県伝説むかし話集」(羽衣出版有限会社)より

さし絵
齋藤 久枝さん

標準語版

静岡県 なみこぞう

 むかし、一人の少年が曳馬野(ひくまの)にかあさとともに住んでいた。
 ある日、田をうなあして小川で足をあらっていると、かたわらの草の中から「もしもし」とよばある者がある。見ると親いびほどの子どもがいる。そして、「お助け下さい、あちはこの前の海に住むなみこぞうというものでございます。先ほどの大雨にうかうかと陸にうかれ出たのですが日照りにあってはとても家まできゃあることはできません。どうぞ海までお連れ下さい」と言う。少年は気の毒に思って言うとおりにして助けてやった。

 その後なお日照りが続いた。田の水はかれる。いねはしおれる。少年はとほうにくれて、ある日ぼんやり海辺にぼっ立っていると、海間からちょこちょことんで来たものがある。
 よく見るとこの間のなみこぞうである。「いっつかはありがとうがあんした。日照りで大変おこまりのご様子、わたしの父は雨ごいの名人ですから、さっそく雨をふらしていただきましょう。なお今後は雨ふる時には東南で、上る時には西南であらかじめなみを鳴らしてお知らせいたしましょう」といってすがたをかくしてしまった。
 言(げん)のごとく間もなく大雨がふって、少年はじめ里の人々は大いに助かった。
 それから、この地方では、なみの音によって天気予知が出来るようになったという。


『静岡県伝説むかし話集』(羽衣出版有限会社)を参考に、
浜松学院大学短期大学部・加茂徳明准教授が作成してくれました。

さし絵
齋藤 久枝さん

ことば

かたわら

そばにある

海間(うみま)

波の間

雨ごい

雨がふるようにおいのりなどをすること

言(げん)のごとく

言ったとおり

ポイント

全国各地にこれににたお話がたくさん伝わっています。むかしはじっさいに波の音で次の日の天気の予想がされていました。このようにむかしの人は、自然のようすに注意をはらい、波の音や、空もよう、風の向きやしめりぐあいなどから、天気や季節のうつりかわりを感じて生活していたのです。

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