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感心 ふねになったきがみずからをかたったものがたり

舟になった木が自らを語った物語

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ある一本の木が立っていました。そこに悪口ばかりを言う男がやって来て、木に悪口を言いながらきろうとしました。しかしその男のおのでは木を切ることができませんでした。数日後、かんしゃする心を持った男がやって来ました。今度はこの男が同じ木を切ろうとしました。はたしてこの男は切りたおすことができたのでしょうか。

民話の舞台
北海道
かたりべ
MINAさん
収録地
東京都渋谷区
収録日
2009年1月27日
再生時間
4分12秒

民話のふるさと

収録日
2009年3月6・7日
撮影地
北海道白老町、千歳市、苫小牧市、早来町、安平町
再生時間
4分32秒

実りゆたかな大地、北海道。キタキツネなど、多くの野生動物を見かける、自然の王国です。

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MINA(みな)
かたりべ
MINAさん
再生時間
3分41秒

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舟になった木が自らを語った物語

 わたしはたきの上に立っていた。
 ある日、川下より人の声がしたので見ると、わかい男が六つのおのを持ってわたしに向かって来てこう言った。

「このしょう悪のくされ木よ!おれの言うことをよく聞け!おれはお前をたおして舟(ふね)を作り、その舟で交えきへ行ってやるからな。このくされ木よ!」
と言い、わたしを切ろうとした。
 その男のたいどにはらを立てたわたしは、自らのやわらかい肉を中にしまいこみ、固い肉を外側へ出してやった。男はわたしをおのでたたきまくったが、とうとう六本すべてのおのがガタガタになり使えなくなってしまった。

 おこった男は
「この悪い木め!こんじょうの悪いくされ木め!」
とさんざん悪口をぶちまけて去っていった。

 数日後、またどこからか一人の男がやって来た。その男もまた、六本のおのを手に持っていた。男はわたしを見つけるなり、喜んでそばによって来て、わたしに二度、三度おもおもしく手を上げて、ていねいにあいさつをしてこう言った。
「木の神よ。どうぞわたしに切らせてください。そうすればりっぱな舟をわたしが作り、毛皮や酒や、いろいろな交えきの品であなたのふところをいっぱいにしてさしあげます。大地の神よ。しっかりとわたしを見てください」
そして、さい度重々しく手を二度、三度あげあいさつをした。

 わたしは自らのかたい肉を中にしまいこみ、やわらかい肉を外側に出してやった。男はわたしを切りたおしてすばらしいりっぱな舟をこしらえた。そして喜びながら舟を川におろし、私のふところを毛皮などでいっぱいにし交えきへ出かけた。
 それらをいろいろなたからもの、食料、酒などと交かんし、私のふところへ入れて村へ帰ってきて、それらを家へ運んだ。

 それからたくさん作ったイナウでわたしのふところをいっぱいにしてこう言った。
「大地の神よ。かんしゃ申し上げます。あなたのおかげで、これほどまでにたくさんのいろいろなものを手に入れることができました。心よりお礼を申し上げます」
 男がイナウと酒でわたしのふところをいっぱいにしてかんしゃしてくれたおかげで、私は神の中でよりえらい神になったのだ。

・・と、舟になった木が自ら語った。


久保寺 逸彦「アイヌ叙事詩 神揺・聖伝の研究」と
大塚 一美「キナラブック口伝 アイヌ民話全集」を参考にしました

さし絵
池田 マキコさん

ことば

しょう悪

性格がよくないこと

交えき

品物を交かんして商売すること

さい度

もう一度

イナウ

ヤナギの木などを削って作る、神へのささげもの。

ポイント

木や草花は、声を出したり、動き回ったりしません。だからといって、人間が好き勝手にいじめたりしていいわけではありません。自分たちのために木や草花を使おうとする時は、かんしゃの気持ちをわすれず、そしてそれをきちんと役に立つような使い方をしましょう。

写真館民話のふるさとを写真でみてみよう

  • アイヌ民族の家、チセの内部(アイヌ民族博物館ポロトコタンにて)

    アイヌ民族の家、チセの室内です。室内に柱がなく、広々としているのが印象的でした。また、いろりのようなろの上にサケが下げられていて、自然にくんせいになる仕組みになっているのにも感心しました。

  • アイヌ民族の家、チセの外観(アイヌ民族博物館ポロトコタンにて)

    アイヌ民族の家、チセの外観です。カヤやササ、木の皮など、植物でつくられています。以前、白老の市街地に合った集落をい動してきてふく元したのだそうです。何となく日本のかやぶき民家ににていますね。

  • コタンコルクル(むらおさ)のぞう(アイヌ民族博物館ポロトコタンにて)

    アイヌ民族博物館の入り口に立っていたコタンコルクルぞう。コタンコルクルはむらおさ、つまり集落の村長さんだそうです。

  • アイヌ民族博物館ポロトコタン前に広がるポロト湖

    アイヌ民族博物館の前に広がるポロト湖。ポロはアイヌ語で「大きい」、トはアイヌ語で「湖」を意味するそうです。このように地形を表現しているのがアイヌ地名の特徴です。

  • 支笏湖

    支笏湖(しこつこ)にも足をのばしました。地元の人からは「この時期(3月上じゅん)に支笏湖まで車で行くのはわたしたちでもむずかしい」と言われていましたが、だん冬のえいきょうか、湖の手前まで、路面に雪がありませんでした。でも、支笏湖にそった道はとう結していて、天気も下り坂に。あっという間に粉雪がまう冬景色になりました。

  • 樽前山

    支笏湖(しこつこ)の南がわにある火山です。高そうな山ですが、標高は1041mです。山の名前はアイヌ語で「川岸の高いところ・(そこに)ある・もの」という意味のタオロマイに由来するそうです。

  • ミヤマカケス

    苫小牧(とまこまい)から支笏湖(しこつこ)に向かう道ぞいで、大きくてきれいな野鳥を見つけました。林の中をグライダーのようにかっ空しながらい動します。後で調べたらカケスの仲間で、北海道にしかいないミヤマカケスという野鳥でした。ミヤマとは深い山の意味です。学じゅつ的にはこれでもカラスの仲間なのだそうです。

  • ラムサールじょう約登録地のウトナイ湖

    札幌(さっぽろ)と室蘭(むろらん)を結ぶ太い国道のすぐそばに、野鳥の楽園、ウトナイ湖がありました。ラムサールじょう約で登録されているきちょうなしっ地です。ちなみに湖の名前は、アイヌ語で「ろっこつ・川」という意味があるそうです。これは人間のろっこつのように、何本もえだ分かれした川が流れこんでいるからだそうです。

  • ウトナイ湖のハクチョウたち

    ウトナイ湖は、だん冬とはいえ、大半が氷におおわれていました。水面ではたくさんのハクチョウが羽を休めていました。

  • ウトナイ湖に注ぐ美々川(びびがわ)

    国道のすぐそばを流れているのに、まるで大自然のまっただ中にあるかのような美しい川でした。その美しさから名前がついたと思ったら、これもアイヌ語で「川・川」または「水・水」の意味があるそうです。千歳(ちとせ)市内でわきだし、ウトナイ湖に注いでいます。こんな川がみぢかにあるとは、さすがに自然ゆたかな北海道ですね。

  • 木のサイロ

    安平町というところで、日本最古と言われる木せいのサイロと出会いました。白いサイロにの後ろにあるのが木せいで、昭和5年につくられたものだそうです。「よくぞ北海道のきびしい気候にたえてきた」と思いました。ちなみにサイロは家ちくのえさをためておく倉庫です。

  • キタキツネ

    千歳(ちとせ)空港の近くにある牧場地帯で、キタキツネと出会いました。最初、野良犬と思ったのですが、考えてもみればここは北海道。野良犬の方が珍しいかもしれません。さつえいしたとき、キタキツネとのきょりは5mほど。とても人になれている感じでした。観光客がえさをやることがあるからかもしれません。でも、人間がえさをあたえてしまうと、野生で生きていく力を失ってしまいます。また、頭数のバランスがくずれてしまいます。そのため、北海道では「キタキツネえさをあげないで」とよびかけています。

  • 語りべのMINAさん

    語りべのMINAさん

よもやま民話にまつわるエピソード


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