もともとは、びわ湖やその近くの川だけに住んでいた源五郎ブナですが、その「びわ湖」と「源五郎ぶな」のはじまりについてのお話です。この地いきで、子どもたちにおしばいを教えている滋賀県に住む役者・金紀江さんの語りもとてもさわやかです。
- 民話の舞台
- 滋賀県琵琶湖
- かたりべ
- きむきがんさん
- 収録地
- 滋賀県近江八幡市
- 収録日
- 2008年6月18日
- 協力
- 近江兄弟社小学校
- 再生時間
- 3分44秒
読んでみよう
方言版

むかしむかし、びわ湖が、小さなぬまやったじぶんにな、ぬまのそばに源五郎(げんごろう)という名前のわかい漁師(りょうし)が住んでたんや。
ある日のこと、
「なえはいらんかのう。なえはいらんかのう。」
というて、おじいさんのなえ売りがやってきたんや。
源五郎がなえ売りのはたへ行くと、
「これはおまえ、いかいナスビがでけるのやで。買わんかな。一本百文や。」
というたんで、源五郎は、そのなえを、買うてしもたんや。
家へもどると、母親がこれを見て、
「おまえ漁師やのに、なえみたいなもんこうて、どうするんや。あほうやなあ、おまえは。」
いうて、えらいおこらはったんやな。
源五郎は、せっかく買うたもんやで、そのナスビのなえを植えてみると、くきが、どんどんのびて、とうとう雲の間をつきやぶるほど、大きいなったんや。
ほんで、源五郎は、七夕さんの日にな、ほとけさんにナスビをそなえようと思うて、ナスビの木にのぼって、取りに行ったんや。
そうすると、とうとう天についてしもたんや。天には、しらがのおじいさんと、美しいむすめが住んでいたのや。ところが、このしらがのおじいさんというのはな、実は、かみなりさんやったのや。かみなりさんは、ちょうど、わかい男をさがしてやったときなので、源五郎を、こいつは働き者やと思うて、
「水まきの手伝いをしてくれ。」
というて、たのまはったんやな。
源五郎が、畑へ行ったところ、美しいむすめが一人いたんや。まあ、それにほれこんで、毎日毎日、喜んで水まきをしていたんやな。とうとう家へ帰るのをわすれてしもうたんや。
さあ、家ではナスビ取りに行ったむすこが、ちょっとももどってこんので、母親が毎日毎日、空を見て心配してやったんや。
源五郎が、いつものように水まきをしていると、家の前で、心配そうに空を見ていやった母親の顔が、すっくりと見えたんやな。源五郎は、これを見てはっとしたんや。ほんでびっくりしたひょうしに、足をふみはずして、持っていた水がめを落としたんやな。
水がどんどん、どんどん流れて、まあ止まらなんだんや。
ほんで、とうとうぬまが、今の大きなびわ湖になってしもたんや。その時、水がめといっしょに落ちた源五郎が、びわ湖の中で、フナになってしもたんや。
それから、村の人が、フナのことを、「源五郎ブナ」というようになったんやな。
協力/滋賀県小学校教育研究会国語部会 安田 直次
近江兄弟社小学校 とりい しん平(敬称略)
標準語版

むかしむかし、びわ湖が、小さなぬまだったころ、ぬまのそばに源五郎(げんごろう)という名前のわかい漁師(りょうし)が住んでいました。
ある日、
「なえはいらんかのう。なえはいらんかのう。」
といって、おじいさんのなえ売りがやってきました。
源五郎がなえ売りのところへ行くと、
「これはおまえ、大きいナスができるのやで。買わないかい。一本百文や。」
というので、源五郎は、そのなえを、買ってしまいました。
家へもどると、母親がこれを見て、
「おまえは漁師なのに、なえみたいなもん買って、どうするんや。あほうやなあ、おまえは。」
といって、とてもおこりました。
源五郎は、せっかく買ったものなので、そのナスのなえを植えてみると、くきが、どんどんのびて、とうとう雲の間をつきやぶるほど、大きくなったのです。
そこで、源五郎は、七夕の日に、ほとけさまにナスをそなえようと思って、ナスの木にのぼって、取りに行きました。
そうすると、とうとう天についてしまいました。天には、しらがのおじいさんと、美しいむすめが住んでいました。ところが、このしらがのおじいさんというのは、実は、かみなりさまでした。かみなりさまは、ちょうど、わかい男をさがしていたときなので、源五郎を、こいつは働き者だと思って、
「水まきの手伝いをしてくれ。」
といって、たのんできました。
源五郎が、畑へ行ったところ、美しいむすめが一人いました。まあ、それにほれこんで、毎日毎日、喜んで水まきをしました。とうとう家へ帰るのをわすれてしまいました。
さあ、家ではナス取りに行ったむすこが、ちっとももどってこないので、母親が毎日毎日、空を見て心配していました。
源五郎が、いつものように水まきをしていると、家の前で、心配そうに空を見ていた母親の顔が、はっきりと見えたのです。源五郎は、これを見てはっとしました。そしてびっくりしたひょうしに、足をふみはずして、持っていた水がめを落としてしまいました。
水がどんどん、どんどん流れて、まあ止まらなくなったのです。
そして、とうとうぬまが、今の大きなびわ湖になってしまったのです。その時、水がめといっしょに落ちた源五郎が、びわ湖の中で、フナになってしまいました。
それから、村の人が、フナのことを、「源五郎ブナ」というようになったのです。
ポイント
もとは、びわ湖やその周辺だけにいた「源五郎ブナ」ですが、そんな魚を人間に例えるところに、地元の人々が源五郎ブナを愛する気持ちがあらわれています。しかし、そんな源五郎ブナも、その後人々によるびわ湖のかんきょうはかいなどによって苦しんだ時代がありました。あなたも地元の動物と自然かんきょうに、どんな関係があるか調べてみましょう。
写真館民話のふるさとを写真でみてみよう
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びわ湖博物館でさつえいさせていただきました。昔はびわ湖にしかいませんでしたが、最近は各地で放流されているそうです。びわ湖地いきでは「ふなずし」というきょう土料理があり、ニゴロブナという魚が使われていました。しかし、外来種のえいきょうなどによりニゴロブナがへったため、ゲンゴロウブナが使われることがあるそうです。
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高島市に、ためいきがでそうなほどきれいなたな田がありました。「畑のたな田」と言い、けいしゃ地にさまざまな形の田が連なっていました。 「日本のたな田百選」に選ばれているそうです。
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「畑のたな田」では、下流のびわ湖に負たんをかけないようなお米作りが行われていました。
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これも葛籠尾崎(つづらおざき)から見たびわ湖の東岸です。
よもやま民話にまつわるエピソード
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滋賀県『源五郎ブナ』について
源五郎ブナは、少なくとも30万年前から生息している魚です。








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