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感心

かりうどのはなし

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山へイノシシがりに出たかりうどは、目の前でさまざまな動物たちがほかの動物におそわれて死んでいくのを見てしまいます。そして、イノシシを殺そうとしている自分がこわくなってしまいました。そんなかりうどの後ろに立っていたのは...。

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かたりべ
神農 直隆さん
再生時間
3分21秒

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和歌山県 かりうどのはなし

 むかしむかし。
 日高郡(ひだかぐん)のずうっとおくの方にある美山村(みやまむら)にな、鉄ぽううちの名人が住んでたそうな。
 その日もイノシシをうつつもりで、深い山の中へ入っていったんや。
 そしたら幸運にもイノシシの通り道を見つけたんで、そのそばの岩のかげにかくれて、じいっと待ってたんやしょ。
 そのとき、何気なしにふと地面を見ると、一ぴきのミミズがチョロチョロとはうてきたんや。
 すると岩の間から一ぴきのカニが出てきたと思うと、たちまちミミズを大きなツメではさんで、ムシャムシャと食べてしもうた。
「やれやれ、かわいそうに...」
 と猟師(りょうし)が思ったとき、今度は大きなガマがのそりのそりと出てきてな、そのカニをパクッとのみこんでしもたんや。
「なんとなあ、この世は強いもの勝ちやなぁ...」
 と猟師が大きなため息をついた時、あっちの方のぞうき林がガサガサとゆれたかと思うと、大きなイノシシが飛び出して、こっちの岩の方をめがけてかけ下りてくるんやしょ。
 そして猟師の目の前を矢のごとくに走りぬけて行ったんやが、そのとたんにガマの体はちゅうにまい、あわれにもグシャッとつぶれされてしもておだぶつやったんやと......。

 猟師はつくづくと考えこんでしもたわ。
(小さなものは次々に大きなものにやられてしまうなぁ。これが自然のことわりならば、わしもイノシシをうったら、なんぞ大きなものにやられるかもわからんな...。)
 そう思たんで、もうイノシシうちを止めて家へ帰ろと立上がったときのことやった。
 うしろの方から大きな声が聞こえた。
「どうじゃ、気がついたな。お前がイノシシをうったら、そのしゅん間にお前をとって食ってしまおうとここで待っていたんじゃ...」
 ひょいとふりむいて見ると、雲つくような大入道が、まっ赤な口をあけてつっ立ってるんやしょ。
 さあ、猟師はたまげたな。いちもくさんに家ににげ帰ったんやが、もう体がふるえてふるえて......。

 それにしても、あの雲つくよな大入道は一体何者やったんやろ。明けてもくれても、動物たちのいのちをうばっているこのわしをさとすために、ひょっとするとほとけさまが姿を変えて、言われたんかも知れやんな...とつくづく考えた。
 そいでもう猟に行くのは止めたんやとい。

荊木 淳己著「日本の民話 -紀の国篇-」(燃焼社)より(敬称略)

さし絵
池田 マキコさん

ことば

はうてきた

はってきた[方言]

ガマ

カエル

おだぶつ

死んでしまうこと

雲つくような

雲までとどくような

入道(にゅうどう)

ぼうず頭のようかい

ポイント

すべての動物は、ほかの動物や植物などを食べて生きています。そして人間もその中の一つです。もしわたしたち人間も、ほかの動物に食べられることがあったとしたらどう思いますか?食べものを食べるときは、その生きものにかんしゃをして大切に食べるようにしましょう。


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