こまったことが起きたとき、みんなで力を合わせたり、特にこまっている人を助けたりすることが大切です。地球のいろいろな所で、私たち以上にこまっている人々や生きものがいたら、自分には何ができるのかを考えてみましょう。
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東京湾(とうきょうわん)につき出した富津(ふっつ)には、サルの住む山がある。むかし、そのあたりに、鹿野(かのう)のお山を二つぐれぇ重ねたせたけの大女がおって、サルたちと食べ物ンを分け合ってくらしておったそうな。
志組谷(しぐみだに)の里のしゅうは、この大女を、女でえでっぽとよぶ。
女でえでっぽのすみかには、毎日、サルたちが集まった。
サルたちは、きまって木の実や山菜をぶらさげてきた。
するっと、女でえでっぽは、そいつを大岩ほどの石うすにぶちこんでひき、その粉でだんごを作って、サルたちと食べあった。
女でえでっぽが石うすをひくと、きまって、富津の山やまはゴロンゴロン、ゴーゴーと地鳴りをたてたという。
石うすは、女でえでっぽのいのちの次に大事なたからものであったと。
女でえでっぽは、志組谷の中ぬまの水をのんでおった。ぬまには主がおって、心やすく水を分けてやった。
あっとし、長い日照りが続いた。
ぬまの水は、どんどん水かさをへらした。
「女でえでっぽよ、おめえが一口のむと、水かさが一尺(しゃく)もへる。明日から、ほかんとこで、水をのんでくれろ」
主は、きゅうにことばをあらげて言いだした。
「あれ、今まで心やすく水をのんでたにきゅうに言われても、おらァ他のぬまの水ではたんねぇもの」
女でえでっぽは、主のあらい声にとまどいながらも、たのみこむように言った。
「いや、なんねえ。水がへりゃあ、おらァがこまるんだから」
「そう言っても・・・ じゃあ、両手ですくうだけでも、な」
「いや、なんねえ、おらァがこまるだ」
「じゃ、かた手ですくうだけでも」
「いや、なんねェ、おらァがこまるだ」
「じゃ、指一本、したすだけでも」
「なんねェなんねェ」
「これほどたのんでもか」
「ああ、こんだァばっかりはなんねェ」
「くちびるをぬらすだけでも・・・」
「しつこいな!」
すげない主の返事に、とりつく島もないと思ったか、女でえでっぽはかっとなって、
「そんじゃ、もうたのまねえ、水をのませてもらってっからと、おらあもずい分と気をつかってきたに、心やすくしてきたに、ちっとばかり日照りが続いたからといって、むかしっからのつきあいをやぶるこたァねえかっペッ」
そうはきすてるように言うと、志組谷の山おくへとってかえした。
それっきり中ぬまにはすがたを見せなくなった。なんでも、山へもどった女でえでっぽは、長年つきあってきたサルたちにもあたりちらし、いのちの次に大事な石うすをそでにつっこむと、プイと西に向って山をかけていったと。
そんとき、石うすの入ったそでがやぶれ、谷底に落としたのも気づかないほどであった。そんで、女でえでっぽの落としていった石うすをうば石といい、いまも志組谷に残っている。
女でえでっぽは、富津みさきから富士の山へひとまたぎでわたり、そっから唐(から)へ、そんでさらに、天竺(てんじく)へわたっていったと。
協力/藤 かおる(児童文学作家)(敬称略)
ポイント
山よりも大きな大女「女でえでっぽ」が、それまで仲良くしていた村人とケンカをしてしまったわけは一体なにか? この「女でえでっぽ」のほかに、オマケの民話も聞けるので、ぜひクリックしてみてね。
よもやま民話にまつわるエピソード
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千葉県『女でえでっぽ』について
民話には、このお話のように大男・大女が登場するものがしばしばあります。








