文字サイズを変更
文字サイズ小
文字サイズ中
文字サイズ大
感心 おちゃやでら

お茶屋寺

キーワード
,
,

しょうぐん様が、とつぜんお寺にやってきました。あまりに急なことだったので、あわてたお坊さんは、ふつうのいど水しかさし上げることができませんでした。ところが、その水のあまりのおいしさに、しょうぐん様はお坊さんがびっくりするようなごほうびを与えてくれました。

聞いてみよう

再生ボタンをおして民話の語りを聞いてみよう。ダウンロードもできるよ。

かたりべ
遠藤 忠さん
再生時間
2分3秒

読んでみよう

印刷用データ(PDF)

埼玉県 お茶屋寺

 わたしが子どものころ、下二丁目の西蓮寺(さいれんじ)さんをお茶屋寺とよんでいたんだよ。

 むかしごんげん様というえらいしょうぐん様がおってこの付近でおたかがりをしなさったんだ。そのおり、西蓮寺さんに立ちよったんだってさ。
 急のおこしで、うろたえたのはぼう様だ。いなかもんのことだからどうもてなしていいかわかんねーから、寺じまんのいど水さー、さしあげることにしたんだ。
「いなかゆえにこの寺にはなんにもありませんが、いなかの水はたんとあります。」
とさしだしたんだと。

 ごんげん様は、その水っこを「ゴクン、ゴクン」と、のどをならしながら飲み、
「この水は、そち方(かた)の水か。どうして味が良いのか。」
と、お聞きになったんだと。

 日ごろ、つうといえば、かあというもの知りでとおっているぼう様だが、「うめーから、うめーんだ。」とは、答えられねーで、口こっさーつまっちまった。
「このいどは寺のたつみにあります。川の水がやっぱらにしみこみ、かやが水をこしてくれるので、味がよくなります。」
と、お答えしたそうな。すると、
「もういっぱい所望することにして、いどから川にむかって一町のかや野は、そち寺の寺りょうとせよ。」
とお命じになられた。そして寺りょう目録(もくろく)を書いてくださったんだと。

 その後も、代々のしょうぐん様がこの付近でおたかがりをすると、西蓮寺さんのお水をおつかいになったそうな。それから、お茶屋寺とよばれるになったんだとよ。


協力/八潮市文化財保護課 八潮市立資料館

さし絵
きょうこさん

ことば

ごんげん様

江戸時代のしょうぐん・徳川家康(とくがわいえやす)のこと

おたかがり

タカを使って動物をつかまえるかり

たんと

たくさん[方言]

そち方

あなたの

つうといえば、かあ

どんなことをきかれてもすぐに答えられるようす

口こっさー

話が

たつみ

東南の角のこと

やっぱら

野原

かや

ススキやチガヤなど、葉が細長くて屋根をふくのにつかう草

こして

(→こす)細かいすきまを通してゴミなどを取りのぞくこと

しょもう

もらうこと

町(ちょう)

土地の広さの単位 一町はおよそ99.17アール

そち寺

あなたの寺

寺(じ)りょう

お寺のりょう地

目録(もくろく)

おくりものの品書き

ポイント

おいしい水がのめることは、人々に喜ばれ、とても大切なことだというお話です。おいしい水は、その土地が豊かであることの表れと言えるでしょう。また、水をおいしくするために「かやが水をこす」というお話が出てきますが、これは今では「ろか」と言って、くすりなどを使わずにおいしい水にするためのむかしからのやり方です。

よもやま民話にまつわるエピソード


このページの上へ移動