しょうぐん様が、とつぜんお寺にやってきました。あまりに急なことだったので、あわてたお坊さんは、ふつうのいど水しかさし上げることができませんでした。ところが、その水のあまりのおいしさに、しょうぐん様はお坊さんがびっくりするようなごほうびを与えてくれました。
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わたしが子どものころ、下二丁目の西蓮寺(さいれんじ)さんをお茶屋寺とよんでいたんだよ。
むかしごんげん様というえらいしょうぐん様がおってこの付近でおたかがりをしなさったんだ。そのおり、西蓮寺さんに立ちよったんだってさ。
急のおこしで、うろたえたのはぼう様だ。いなかもんのことだからどうもてなしていいかわかんねーから、寺じまんのいど水さー、さしあげることにしたんだ。
「いなかゆえにこの寺にはなんにもありませんが、いなかの水はたんとあります。」
とさしだしたんだと。
ごんげん様は、その水っこを「ゴクン、ゴクン」と、のどをならしながら飲み、
「この水は、そち方(かた)の水か。どうして味が良いのか。」
と、お聞きになったんだと。
日ごろ、つうといえば、かあというもの知りでとおっているぼう様だが、「うめーから、うめーんだ。」とは、答えられねーで、口こっさーつまっちまった。
「このいどは寺のたつみにあります。川の水がやっぱらにしみこみ、かやが水をこしてくれるので、味がよくなります。」
と、お答えしたそうな。すると、
「もういっぱい所望することにして、いどから川にむかって一町のかや野は、そち寺の寺りょうとせよ。」
とお命じになられた。そして寺りょう目録(もくろく)を書いてくださったんだと。
その後も、代々のしょうぐん様がこの付近でおたかがりをすると、西蓮寺さんのお水をおつかいになったそうな。それから、お茶屋寺とよばれるになったんだとよ。
ポイント
おいしい水がのめることは、人々に喜ばれ、とても大切なことだというお話です。おいしい水は、その土地が豊かであることの表れと言えるでしょう。また、水をおいしくするために「かやが水をこす」というお話が出てきますが、これは今では「ろか」と言って、くすりなどを使わずにおいしい水にするためのむかしからのやり方です。
よもやま民話にまつわるエピソード
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埼玉県『お茶屋寺』について
西蓮寺というお寺は今もあるので、たずねてみることができます。








