東京23区がまだ村だったころのお話です。小高い山の中でくらしていたおじいさん・おばあさんとタヌキの心あたたまるふれあいについて書かれています。また、今の東京で見つかったタヌキの写真がいろいろあるので、ぜひ見てみてくださいね。
- 民話の舞台
- 東京都杉並区
- かたりべ
- 田中幸美さん
- 収録地
- 東京都杉並区
- 収録日
- 2008年9月20日
- 協力
- すぎなみ昔話紙芝居一座「すかい」
- 再生時間
- 8分20秒
杉並のタヌキ
- 話し手
- 古山隆志さん
- 収録地
- 東京都杉並区
- 収録日
- 2008年月日
- 再生時間
- 8分51秒
読んでみよう

むかし、むかし、阿佐谷(あさがや)もまだ村だったころのことです。周りを田畑に囲まれた小高い山の上に、おじいさんとおばあさんが仲良くくらしておりましたと。
おじいさんとおばあさんは、自分たちの食べ残しが出ると、「おすそ分けですよ。同じ山の仲間たちよ、おあがりよ」
と話しかけながら、勝手口に出して置くのがつねとなりました。
はじめのうちこそよって来るものはありませんでしたが、だんだんにキツネもタヌキもやって来て、朝夕の残り物を待つようになっていましたって。おじいさんとおばあさんは、毎日やってくるキツネやタヌキを温かい目で見ていましたと。
そんなある日、いつもふうふでやってくるタヌキが、おすダヌキだけでやって来て、口にくわえられるだけ食べものをくわえると、帰って行きましたって。
「もしかしたら、おなかが大きかったから、赤ちゃんでも生まれたのかもしれないねぇ」
とおばあさんは言いながら、気になってタヌキの後をつけて行くと、なんとめすダヌキは足にきずがあり、血だらけになって苦しんでいましたそうな。おじいさんをよんで来て、きず口に油薬をぬってもらうと、こわがっていたタヌキもしいてもらったわらの上におとなしくねていましたって。
次の日から、
「おばあさんや、かわいそうだから何か元気の出るもの食べさせておやりよ」
とおじいさんが言ってくれたので、おばあさんは喜んで食べものを運んでやりましたって。
五日目の朝、おばあさんが行ってみると、タヌキはかわいい赤ちゃんを三びきも生んでいました。おばあさんもおじいさんも大喜びして、今までよりたくさんの食べものを運んでやりましたと。
一か月もすると、タヌキはすっかり元気になり、赤ちゃんだったタヌキもころころ太ったかわいい子ダヌキになって、一家はおじいさんやおばあさんの知らない所に巣を作って行ってしまいましたと。
そのころから、おばあさんの水がめが、くんでもいないのにいつも水がいっぱい入っているようになりましたそうな。庭のつるべいどからくみ上げて、手おけで運び、水がめをいっぱいにするのがおばあさんの仕事でしたから、
「きっと、おじいさんが親切にやってくれたんだなぁ」
と、おばあさんは思っていました。
ところがある日、おじいさんが、
「木小屋がわったまきでいっぱいだけど、おばあさん、いつまきを作ってくれたの」
と聞くものですから、おばあさんは、
「わたしは知らないけど......。ところでおじいさん、いつも水がめがいっぱいだけど、いつくむの」
と聞きますと、おじいさんも、
「わたしは、水なんかくんでいないよ」
と言うではありませんか。
おじいさんもおばあさんもびっくりしながら、だれがこんな大変な仕事をしてくれたのだろうと考えましたが、全く見当がつきませんでしたって。二人は考えて考えてから、
「きっと、タヌキが恩(おん)返ししてくれたんだ」
と思うようになりました。
それからも、次々によい事が起こり、いつまでもいつまでも、幸せに暮らしましたとさ。
すぎなみむかし話紙芝居一座「すかい」
ことば
- 勝手口(かってぐち)
台所の入り口
- つるべいど
水をくみあげるおけがついているいど
- 水がめ
水をくんで入れておく、大きくて底の深い入れ物
ポイント
わたしたち人間と動物は、同じこの地球に住んでいます。もっと動物のためにしてあげられることがあるのではないでしょうか。これは昔のお話ですが、東京のまちには今でもタヌキなどの動物がいることが分かっています。わたしたちの近くでくらしている動物、同じ地球に住んでいる動物のために何ができるかを考えてみましょう。
写真館民話のふるさとを写真でみてみよう
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池から流れ出す小川がありました。後で調べたら、善福寺池を水源とする善福寺川でした。杉並区内を流れ、やがて神田川に合流します。
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江戸(えど)時代に江戸へと飲料水を運ぶためにつくられました。新宿の淀橋浄水場(よどばしじょうすいじょう)で取水されていましたが、副都心開発などによりはい止になり、杉並区内ではほとんど水が流れていないじょうたいになりました。しかし、1980年代に東京都が行った清流ふっ活事業でふっ活し、今にいたっているそうです。
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区民が話し合いを重ねて計画をかためた公園。タヌキの話をしてくださった古山さんがせっ計にかかわっています。しばふの広場のほか、田んぼやビオトープ、ぞう木林、茶室などもあります。
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1000年近い歴史を持つ神社で、都内では3番目の広さをほこります。東京のほぼ中央に位置することから「東京のへそ」ともよばれているそうです。おとずたれ日は黄葉したイチョウがきれいでした。
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大宮八幡宮のとなりに、和田堀(わだぼり)公園がありました。善福寺川(ぜんぷくじがわ)にそった公園で、大宮八幡宮とともに広大な緑地を形づくっています。めずらしい野鳥も多く見られるようで、さつえいをしていたら「カワセミもいるよ」と声をかけられました。
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小さな神社ですが、神社のかん板には平安時代にそう建されたと書かれていたのでおどろきました。素戔嗚尊(すさのおのみこと)をまつっているので、出雲にある須賀神社(すがじんじゃ)と同じ名前をつけたのだそうです。小さな神社でしたが、都会でくらすタヌキにとっては大切な場所なのでしょう。
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善福寺(ぜんぷくじ)公園では、「遅の井(おそのい)」など、武蔵野(むさしの)台地からのゆう水がわきだしていて、それらが池の水を満たしているそうです。こう葉がとてもきれいでした。多くの水鳥も見られました。
よもやま民話にまつわるエピソード
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東京都『タヌキの恩返し』について
すぎなみ昔話紙芝居一座「すかい」の田中幸美さんの紙芝居を収録をしたのは、杉並区の天沼弁天池公園です。








