とても短いお話ですが、阿蘇山(あそさん)は、こわい山だという人びとの気持ちがよく分かる民話です。広びろとした阿蘇山の景色も見ることができるので、ぜひ見てみて下さい。
- 民話の舞台
- 熊本県南阿蘇村ほか
- かたりべ
- 本田ミツ子さん
- 収録地
- 熊本県高森町
- 収録日
- 2009年2月28日
- 協力
- 高森田楽保存会
- 再生時間
- 1分31秒
読んでみよう
方言版

阿蘇(あそ)山林は、あんたたちは登んなさったつか知らんが、堂があるもんな、お寺みたいな家がむかしあったですたい。そこの東にこうまい谷があるとですたい。それに短い四、五尺(しゃく)の橋が、かかっとるわけですたい。それで、だいたい川はこげん水のなかですたい。
ところが、熊本(くまもと)の米屋のむすめが阿蘇山に参ったわけですたい。そして、その橋ばわたろうでしたれば、下は大川、大蛇(だいじゃ)と見えるっちゅたふうにしてわたりきらんやったつですたい。
それで、そのお寺さんにわけば聞いたわけですたい。ところがですな、その米屋がな、親の代から二ますつこうて、あのう、ますに底はめて商いしよったとですたい。親のつみが子にたたってわたれんごつなったちう話ですたい。
協力/阿蘇たにびと博物館 梶原 宏之(敬称略)
標準語版

阿蘇山林に、みなさんは登ったことがあるかどうか分かりませんが、そこにお堂があります。お寺みたいな家がむかしあったのです。そこの東側に小さな谷があって、その谷に短い四、五尺(しゃく)の橋がかかっているわけです。それで、もともと川はふだんはそんなに水はなかったのです。
ところが、熊本(くまもと)のある米屋の娘が阿蘇山に参ったときのことです。その橋をわたろうとしたら、橋の下が大きな川や大きなヘビに見えたので、娘はわたることができませんでした。
そこで、そのお寺にわけを聞いてみました。するとその米屋が、親の代から二つのますを使い分けて、ますを上げ底して商売をしていたので、親のつみが子どもにたたってわたれなかったということだったのです。
ポイント
阿蘇山は、今でもけむりを上げることがある火山として知られていますが、それだけに地元の人びとにとってはおそろしい山です。人として正しく生きなければ、自分だけでなく、その子どもの代までが、自然からのばつを受けてしまうことを語っているお話です。
写真館民話のふるさとを写真でみてみよう
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今回、民話を教えていただいたり、阿蘇(あそ)の案内もしてくださるなど、とてもお世話になったのが阿蘇たにびと博物館です。阿蘇たにびと博物館とは、博物館の名前ではなく、「阿蘇を楽しむスタイル」のことを指すそうです。阿蘇のことをいろいろ教えてもらえるので、活用してみてください。
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阿蘇(あそ)の外輪山にふく風で発電する風力発電所です。10きの風車が動いています。俵山(たわらやま)にそった道路から手に取るようなきょりで見ることができました。
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阿蘇(あそ)たにびと博物館の中には、カウンターがあって、本が置かれているぐらい。「ここで阿蘇のことを調べたら、そっそく出かけてみよう」という考え方なのでしょう。
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俵山峠(たわらやまとうげ)というところから、阿蘇(あそ)の火山を一望することができました。実は阿蘇山という山はなく、それぞれ名前がついている阿蘇五岳(あそごがく)をまとめた通しょうなのだそうです。
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南阿蘇(みなみあそ)地いきではたくさんの温泉や水がわいていました。
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南阿蘇(みなみあそ)地いきにたくさんあるわき水の一つ。毎分60トンもわいているそうです。たしかに池のそこからは、プクプクとたくさんの泡が出ていました。白川という川になり、有明海に注いでいます。
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語りべの本田ミツ子さん。高森田楽ほぞん会の大おかみです。
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今回の民話しゅう録で協力してくださったのが高森田楽ほぞん会です。高度けいざい成長期にとだえかけたきょう土料理、田楽をふっ活させ、今では人気のグルメスポットになりました。地元産のサトイモ、こんにゃく、ヤマメなどを、いろりの炭火で焼きます。阿蘇(あそ)に行く機会があったらぜひ立ちよってみてください。
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民話にででくる橋は、火山せいの有毒ガスが発生するエリアにあるので行けませんでしたが、その下の方に、民話にも通じる「龍神橋(りゅうじんばし)」という橋がありました。ちなみに民話に出てくる橋は「左京ヶ橋」と言うそうです。心悪しき人がわたろうとすると、全面の岩が大じゃに見えて、わたることができないという言い伝えも残されています。
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中岳(なかだけ)の火口です。火口の中にはエメラルドグリーンの火口湖があり、そこから白いふんえんが上がっていました。火山せいガスのじょうきょうによっては見学できない日もあるそうです。
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草千里は、阿蘇五岳(あそごがく)のひとつ烏帽子(えぼし)岳という山の中ふくに広がる草原です。これでも火口のあとだそうです。引き馬に乗って観光することができます。
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ぼうしやUFOのような米塚(こめづか)。れっきとした火山で、ちょう上のくぼみはふん火の跡だそうです。この山にも伝説があり、昔、神様がしゅうかくしたお米を積み上げて、この山をつくったと言われています。山ちょうのくぼみは、人々が食べるのにこまったとき、米を一つかみして分けあたえたあとだとか。阿蘇(あそ)らしいスケールの大きな話ですね。
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毎分5トンがわいている水げん。阿蘇(あそ)たにびと博物館の近くにありました。
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阿蘇(あそ)の火山を望む一等地に、直売所や飲食店、みやげもの店などがまとまったしせつがありました。大きな水車はわきだした水で回っています。げん米を白米にしたり、うすでそば粉や米粉をひいているそうです。
よもやま民話にまつわるエピソード
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熊本県『阿蘇山にたずさわる話』について
このお話を選んでくれた阿蘇たにびと博物館の梶原宏之さんは、阿蘇のことなら何でも知っているこの地域の民俗学の専門家です。








