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感心 じょうのふちのいわれと、たかいのさとのていれぎ

杖の淵のいわれと、高井の里のていれぎ

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のどが乾き、水を求めた弘法大師さん。だれも相手にしてくれない中、一人のおばあさんが遠くのいずみから水を運んできてくれます。その気持ちに感しゃした弘法大師がとった行動は?水がとても大事だった時代の民話を、ぜひ読んでみてください。

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名倉 ゆみこ(なぐら ゆみこ)
かたりべ
名倉 ゆみこさん
再生時間
4分2秒

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愛媛県 杖の淵のいわれと、高井の里のていれぎ

 四国八十八カ所まいりの第四十八番札所の西林寺(さいりんじ)は、よく知っていると思います。そのお寺の横の松山東部かんじょう線をこえた向こう側、高井の里に「杖の淵公園」があります。そこには、わき水をこんこんとたたえた、それはきれいな「杖の池」があります。
この池にはこんな話が伝わっています。

むかし、弘法大師(こうぼうだいし)さんがしゅぎょうの最中にちょうど高井までいらっしゃいました。その年はひでり続きで、田はひびわれ、草木はかれ、人々の気持ちもあれすさんでいました。弘法大師さんは歩き続けだったので、のどがかわいて仕方ありませんでした。そこで、家のかど口に立って、水を一ぱいくださいとたのみましたが、どの家でも水をくれませんでした。とても人のことどころではなかったのです。

今度はもうこわれかけたような家で、おばあさんに水をたのみました。すると長い間たって、おばあさんがおけいっぱいの水を持って帰ってきました。遠くはなれているいずみまで水をくみに行ってくれたのです。その冷たい水をゴクゴクおいしそうに飲まれた弘法大師さんは、おばあさんにこう言いました。
「ああ、おいしかった。それにしても遠くまでくみに行かれたのでしょう。このあたりは水が不自由とみえます。よし、わたしが出してあげましょう」。
言葉が終わるか、終わらないうちに、弘法大師さんは手のつえを大地につきさしました。それをぬくと、あら不思議。かわききった大地からこんこんと水がわき出し、いずみとなったのです。そのいずみはどんなひでりの年でも、かれずに今もあります。それが「杖の淵」です。

その池のうら手にすみきった小川が流れています。そこには伊予節(いよぶし)でうたわれている「ていれぎ」が今でも植わっているんですよ。高さ20センチぐらいで、クレソンによくにている草です。おさし身のつまにすると、ピリッとからくて、美味しいんですよ。サッとゆでておひたしにしてもいいですね。
むかしは高井の里でたくさんとれたそうですが、育てるのは大変で、今では夏には黒いしゃでおおったり、川の流れにごみがまざったら取りのぞいたりと、手入れがいるそうです。時期によって、杖の淵公園で売っているので、一度食べてみてはいかがでしょう。


協力/青春亭 お伽座

さし絵
齋藤 久枝さん

ことば

四国八十八カ所まいり

四国に88カ所ある弘法大師ゆかりのお寺などをおまいりすること。

札所(ふだしょ)

おまいりしたしるしとして、お札をさずけてくれるところ。

ひでり

日が照りつけること。また、真夏に晴れの日が続いて雨がふらないこと

伊予節(いよぶし)

伊予(松山)の名物・名所をよみこんだ民よう

つま

おさし身を引き立てるためにそえられる野菜や海そう

黒いしゃ

織り目があらいうすいぬので、熱やかんそうから植物を守ります。

ポイント

弘法大師さんが親切にしてくれた人のために水を出してくれた話は、日本の各地に伝わっていて、今も名水とよばれているところもたくさんあります。それだけ昔は水が大切だったのでしょう。水を大切にする心は、いつの時代にも持ち続けたいものですね。高井の里ではきれいな水を大切にしながら、名物の「ていれぎ」という植物を育てていました。その風景からは「水にかんしゃする気持ち」が伝わってきました。


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