雨がふらず水が少なくなっていたある川をわたろうと思った男がいました。その男はとてもよくばりな男でした。自分がそんをしたくない一心から、だれにも助けをたのまず一人で川をわたった結果、その男は川の中で足をすべらせてしまいました。
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いつのころのことか、あまりむかしのことではなかったド。
その年の夏は雨が少なくて、しかも、来る日も来る日もかんかん照りの日が続いたんだド。田や畑の作物も生気を失って、小川の魚なども死んでうき上るようになったんだド。
そのような天気続きであったので、雄物川(おものがわ)の水もだんだん少なくなり、あちこちに浅せができたド。川底の岩はだも水の上にあらわれるようになったんだド。
雄物川をわたるためには、わたしぶねがゆいいつの手だんであったころなので、川岸の村里にはわたし場があり、わたし守(もり)が休む守小屋(もりごや)があったんだド。
ある日の午後、守小屋に一人の男が声をかけたんだド。 暑い日さかりのこと、わたし守のじいさまも昼ねをしていたけれど、人の声とともに戸口に立った人かげに気づいて起き上ったド。 その男は「向いにわたしてもらいたい。わたしちんは何ぼだ」とたずねた上で、「半分にまけろ」とわたしちんをねぎったんだド。 わたし守は、ねざめの気分の悪さと、男のよくばった強引なかけ合いにはらを立て「水がれの川だ、わたしちんがおしかったら歩いてわたれ」と言って、また横になったド。 男は日よけのかやがさをかぶり、両手に荷物を持っていたが、着物のしりをまくり上げ、そのまま川の中に入って行ったんだド。
さて話は変わって、わたし場よりだいぶ下流でゴリをとっていたじいさまがあったド。 何やら川の中ほどを流れて来るので、見るとかやがさらしい。「なんだ古がさか」と思ったが、気になってよく見ると、かさをかぶった男が流れていたんだド。 びっくりして人をよび集め、なんとか岸に引き上げていろいろ手をつくしたが、どうしても息をふき返さなかったんだド。 村役たちは、「川流れの男はどこの者だ。どうして水死してしまったのか。どうして水死してしまったのか」と、川上の方に人をやっていろいろたずねたんだド。 そうしたら、わたしぜにをねぎった男が、わたし守をおこらせ、頭を下げてたのみこむことがいやなのか、先を急いだためか、歩いて川をわたり、おそらく岩はだに足をすべらせ深みにはまっておぼれ死んだものだろうと言うことになったんだド。
「運が悪いこと、かやがさをかぶっていた上、わたしちんをもおしむよく心が物を手からはなさなかったので、泳ぐこともよぶこともできなかったべナー。どうまきにぜにっこうんとあったのに...」 「あまりよくばって飲んだ水も出さなかったから、はらの皮とよくの皮がつっぱって死んだんだべー、ばかよくな男だナー」とあざ笑うものもおったんだド。 とっぴんぱらりのぷ!
実際の秋田弁で語るとこうなります(語り部・清水素子さんが語った内容)

いつのころのことだが、あまりむかしのことではなかったド。
その年の夏だば雨が少なくて、しかも、来る日も来る日もかんかん照りの日が続いたんだド。田んぼどが畑の物もやずがねして、小川の魚なども死んでうき上るようになったんだド。
そんた天気続きであったので、雄物川(おものがわ)の水もだんだん少ねぐなって、あちこちさ浅せができたド。川底の岩はだも水の上さ出でくるようになったんだド。
雄物川をわたるためには、わたしぶねでねばねがったって、川岸の村里さだばわたし場があり、わたし守(もり)が休む守小屋(もりごや)があったんだド。
ある日の午後、守小屋さ一人の男が声をかけたんだド。 暑い日さかりのこと、わたし守のじいさまも昼ねをしてだったばって、人の声と戸口さ立った人かげに気づいて起き上ったド。 その男は「向いさわたしてもらいてったばって。わたしちんは何んぼだ」ってきいできて、「半分にまけろ」とわたしちんばねぎったんだド。 わたし守は、ねおぎで気分悪いのど、男のよくばった強引なかけ合いにはらを立て「水がれの川だ、わたしちんがおしかったら歩いてわたれ」と言って、また横になったド。 男は日よけのかやがさをかぶって、両手に荷物を持っていだばって、着物のしりばまぐって、そのまま川の中さ入って行ったんだド。
なんぼがたってがら、わたし場がらだいぶ下流でゴリをとっていたじいさまがあったド。 何だが川の中ぐれいば流れて来るものあって、見だっきゃかやがさらしい。「なんだ古がさか」と思ったばって、気になってよく見だっけ、かさかぶった男が流れていたんだド。 びっくりして人をよび集め、なんとか岸さ引き上げでいろいろ手をつくしたが、なんとしても生きがえんねがったド。 村役たちは、「この男だばどこの男だ。なして水死してしまったのか。なして水死してしまったのか」と、川上の方さ人をやっていろいろたずねたんだド。 したっけ、わたしぜにばねぎった男が、わたし守ばおこらせ、頭下げてたのみこむことがいやだったが、先を急いだったがしらねばって、歩いて川をわたり、おそらく岩はださ足をすべらせて深みさはまっておぼれだったびょん。
「運が悪いこと、かやがさばかぶっていた上、わたしちんもよくばって物を手からはなさなかったがら、泳ぐこともよぶこともできなかったべナー。どうまきさぜにっこうんとあったのに...」 「あまりよくばって飲んだ水も出さなかったから、はらの皮とよくの皮がつっぱって死んだんだべー、ばかよくな男だナー」と笑われだったド。 とっぴんぱらりのぷ!
ポイント
むりをしたり、よくばったり、ちょっとのお金をおしんだりすると、逆にわざわいが自分に返ってきます。必要なものにはきちんとお金をはらうことも、わたしたちが安全に正しくくらすために大切なことなのです。地球にやさしい品物を買うときなどでも、このことをわすれないようにしましょう。
よもやま民話にまつわるエピソード
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秋田県『ばかよくの川流れ』について
この物語は、古老の伝えによるもので、あまり欲張ったり強情を張るといのちまで無くしてしまうことをいましめたもののようです。








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